役に立つオモシロ医学論文

高齢ドライバーは本当に交通事故リスクが高い? 日本全国の交通事故データを分析

若年運転者と比べて高齢運転者の事故リスクは低い

 しかし、男性の免許保有者10万人当たりの年間交通事故数は、18~19歳の運転者が1811件と最も多く、次いで20~24歳の運転者で1034件でした。一方、75~79歳では548件、80~84歳では595件、85歳以上では661件と、高齢運転者では、若年運転者と比べて事故リスクが低いという結果でした。女性についても同様の結果が認められたうえ、運転者が高齢であるほど、交通弱者が犠牲になる件数が低下しました。

 論文著者らは「中年以降では、運転者の年齢が高くなるにつれて交通事故リスクが増加したものの、高齢運転者の事故リスクは、若年運転者の事故リスクを上回ることはなく、事故の被害者に大きな傷害を負わせるリスクも低い」と結論しています。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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