「不登校」「ひきこもり」を考える

親が身につけるべき「正しい話の聴き方・伝え方」10原則~①

まずはできるだけひたすら聴く姿勢を

 前回、不登校・ひきこもりは親の傾聴・共感が解決の鍵となることを説明しました。それでも、「子どもの話なんてこれまで散々聞いてきたのに、まだ足りないというのか!」と訝る親御さんは少なくありません。しかしその本質は、表面的に(耳だけで)「聞く」のではなく、相手の本音(つまり一次感情のレベルまで)を(心で)「聴く」という「傾聴と共感」がなされていなければ意味がありません。

 逆に、薄っぺらな表面の話だけを何千回、何万回聞こうが、相手には「一度もまともには聴いてもらえていない」、「聴く気はやはりないのだ」、「親は自分の意見を押し付けることしかできないのだ」と受け止められ、お子さんをさらに絶望へと追い込む危険性すらあるのです。

 ここまでの説明を何のことやらさっぱりピンとこない、ただただ面倒としか思えないという方は、お子さんだけでなく配偶者や親族、職場の同僚も含めて、周囲の方はあなたに大きなストレスすら感じており、かつあなた自身がまったくそれに気づけていない可能性すらあります。胸に手を当てて自らを振り返っていただき、少しでも反省する点があるならば、ぜひ正しい「話の聴き方」を今からでも学ぶ必要があります。

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最上悠

最上悠

うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。

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