日本温泉科学会会長に聞いた…「温泉」はなぜ「腰痛」にいいのか

写真は野沢温泉(C)日刊ゲンダイ

 するといずれも深部体温は上がったが、水道水が1.0度の上昇に対し、食塩泉、重曹泉、炭酸泉では1.5度まで上昇。上昇スピードが速く、出浴後も深部体温が高い状態が続いた。

「人間の体温は一定に保たれるようにできており、入浴で湯に接している場所の体温が上がると、他の場所にあるまだ温まっていない血液がたくさん送り込まれ熱をもらい、その血液が他の部位に熱を放散することで、温まった場所を冷やします」

 これで血流が増加。流れゆく血液で血管内皮が刺激され、血管拡張物質の一酸化窒素が放出される。すると血管が広がり血行がより促進される。

「すると栄養や修復物質の含まれた血液が組織に到達し、組織が再活性化。さらにブラジキニン、トロンボキサンA2といった老廃物や疼痛物質が洗い流され痛みが和らぐのです。水道水の家庭用の風呂でもその効果は得られますが、より体温を上げ、保温効果が長く持続する温泉の方が、効果が高いといえます」

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