日本温泉科学会会長に聞いた…「温泉」はなぜ「腰痛」にいいのか

写真は野沢温泉(C)日刊ゲンダイ

■神経の閾値が上昇し痛みを感じにくくなる

 体温上昇は、痛みに対する閾値も上げる。腰痛のような重く、じわーっとした痛みは、痛みを感じる神経のうち、C線維という細い神経が関係している。前田医師は、どれくらいの電流の強さで痛みを感じるかを調べる電流知覚閾値計を用い、湯温41度15分の全身入浴の前後の変化を調べた。

「水道水と温泉(炭酸温水)を比較すると、C線維の閾値上昇は温泉の方が水道水より上でした。閾値が大きいほど、痛みを感じにくいということになります。腰痛患者さんに炭酸温水入浴をしてもらった研究では、水道水では入浴前後の腰痛点数(数値が高いほど良好)が23.8から25.5への変化でしたが、炭酸温水では24.0から27.1へと変化し、温泉の方がより腰痛が和らぐという結果を得られました」

3 / 5 ページ

関連記事