「運動器疾患全般に言えることですが、痛みを繰り返していると、痛みの閾値(いきち)が下がります。痛みの感じ方が過敏になり、ちょっとした痛みでも強い痛みと感じるようになるのです」
痛みには、侵害受容性疼痛(とうつう)、神経障害性疼痛、心因性疼痛があり、それらが複雑に絡み合っている。変形性膝関節症の場合、骨棘(こつきょく)が生じ、大きくなっていく過程で半月板が引っ張られ損傷。それによって軟骨へ衝撃がダイレクトに伝わるようになり、軟骨が摩耗。骨同士がぶつかって炎症が生じ、侵害受容器が活性化し、その信号が脊髄を通って脳に送られ、侵害受容性疼痛が引き起こされる。
一方で、何らかの原因で神経が障害され、異常な興奮をすることで生じるのが神経障害性疼痛だ。痛みの繰り返しでうつ状態になり、痛みが増幅する心因性疼痛が生じていることも考えられる。