インフルエンザワクチン 確認された効果とそうでないもの

「インフルエンザワクチンにある程度の予防効果は認めるが、他にどんな効果があるのか分からない」──。ワクチン接種の効果には限界があります。調査対象や方法により得られる結果にはバラつきがあるので、こうした感想は当然です。

 ハッキリしているのは、発症が直接の原因となる学校での欠席日数や仕事の欠勤を減らすこと。83%のインフルエンザワクチン接種率を達成した集団では、接種していない人もインフルエンザにかかりにくいことです。

 そのことが接種対象となっていない生後6カ月未満の乳児やアレルギーによりワクチン接種ができない人を守るためにもより多くの人がワクチン接種をすることが望ましい、との意見になっています。

 一方、インフルエンザワクチンを打っても、インフルエンザによる小児肺炎や中耳炎などの合併症や、小児ぜんそく患者がインフルエンザ発症によって発作を起こす頻度、冠動脈疾患の発症などを抑える効果は確認できていません。発症予防効果も2歳以下の小児や65歳以上の高齢者にしてもプラセボを使うなどのレベルの高い調査で、その発症予防効果が確認されているわけではありません。

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