なかなか良くならないうつ病は「そううつ病」を疑え

抗うつ薬では良くならないばかりか、症状悪化

 宗医師の印象に残っている20代の患者がいる。慢性のうつ状態に加え、摂食障害、アルコール・買い物・セックスの依存症、自傷癖、PTSDの症状があり、境界性パーソナリティー障害との診断だった。抗うつ薬を出すと、うつ状態で怒りっぽさが目立つ、そうとうつの混合状態を認めたため、もしや、と思い双極性障害の薬(気分安定薬)を処方したところ、すべての症状がきれいに消え、ほどなく就労に至った。

「効果もないのに抗うつ薬や精神安定剤の垂れ流し的な処方のまま放置というのが一番問題です」

 増えているといわれるうつ病だが、その中には双極性障害が埋もれているかもしれないのだ。

■治療アプリも

 3月1日、「日本うつ病学会診療ガイドライン 双極性障害(双極症)2023」が発刊。宗医師も「心理社会的支援」の執筆責任者を担当。双極性障害の社会リズム治療アプリ「ココロのリズム」がうつ病学会ホームページから無料で利用可。

4 / 4 ページ

関連記事