感染症別 正しいクスリの使い方

【トコジラミ】駆虫薬への耐性を持った「スーパー南京虫」が増えている

刺し口は2つとは限らない(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 トコジラミは、昼間は部屋の壁や柱の割れ目、家具の隙間などに潜んでいて、夜間にそこからはい出してきて吸血し、吸血が終わると元の潜んでいた場所に戻ります。

 トコジラミに刺された場合、刺し口が2つあるとよくいわれますが、これはトコジラミは吸血時間が長い(成虫の吸血時間が約9分)ため、新しい場所に刺し直して吸血することでできるものです。とはいえ、刺し口が必ず2つあるとは限らず、1つまたは3つ以上の場合もあります。

 トコジラミの駆除は基本的に潜んでいる場所への殺虫剤の注入処理となります。ちなみにアタマジラミやケジラミなどによく用いられるピレスロイド系駆虫薬に対して耐性を持ったトコジラミが増えており、「スーパー南京虫」や「スーパートコジラミ」などと呼ばれています。これらのトコジラミに対してはピレスロイド系以外の殺虫剤を用いる必要が出てきます。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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