役に立つオモシロ医学論文

コロナワクチンは夕方よりも日中に接種すべき? 米医学誌で報告

ワクチン接種のタイミングに関連が?(C)共同通信社

 地球上の生物は、約24時間の周期で体内環境を変化させることが知られています。人間においても体温やホルモン分泌など体の基本的な機能は約24時間のリズムを示すことが分かっており、このリズムを「概日リズム」と呼びます。

 過去に行われた研究によれば、概日リズムは免疫の機能にも影響を与えている可能性が示されています。そのため、感染症に対するワクチンも、その接種に適した時間帯があるかもしれません。

 そんな中、新型コロナウイルスワクチンの接種タイミング(時間帯)と、感染予防効果の関連を検討した研究論文が、米国の生物医学に関する専門誌に2023年6月1日付で掲載されました。

 イスラエルで行われたこの研究では、新型コロナウイルスワクチンの接種時間が記録された約150万人分のデータが解析されました。ワクチンの接種時間帯は、午前(8時00分~11時59分)、午後(12時00分~15時59分)、夜間(16時00分~19時59分)に分類され、ブレークスルー感染(ワクチン接種後の新型コロナウイル感染)が比較されています。なお、研究結果に影響を与え得る、年齢や性別、持病の有無について、統計的に補正して解析されました。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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