医者も知らない医学の新常識

新型コロナ後遺症に糖尿病治療薬が有効? 63%リスクが低下

感染症状が出てから3日以内の服用で後遺症のリスクが低下(C)PIXTA

 今年の5月8日以降、新型コロナは季節性インフルエンザと同じ扱いになりました。実際には流行は続いていますが、感染力は強いものの症状は軽いので、通常の風邪と同じように対応している方が多いと思います。ただ、高齢者や基礎疾患のある方では重症化のリスクがあるので注意が必要です。

 また問題となるのは、後遺症といわれるような長期持続する咳(せき)やだるさ、集中力低下などの症状です。症状は数カ月から、時には数年にわたることもありますし、症状が強いとそのために仕事や学校を長期間休まないといけない、という事態が社会問題となっています。

 こうした症状に対して有効な治療法はないのでしょうか? 感染の時の症状が重いほど後遺症にもなりやすいことが分かっています。そのため、ワクチンを接種することは後遺症の予防のためにも一定の有効性が確認されています。

 今年の感染症専門誌に、感染直後に複数の薬剤を使用した場合の後遺症予防効果を検証した論文が掲載されました。その結果、「メトホルミン」という糖尿病治療薬を感染症状が出現してから3日以内に使用すると、後遺症のリスクが63%、有意に低下していることが確認されました。この薬は糖尿病患者に使用しますが、糖尿病以外の人にも使用可能なので、今後、コロナ後遺症の有効な予防法として使用される可能性がありそうです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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