月経のたびに息切れが…女性の気胸の正体は「子宮内膜症」かもしれない

思いもよらない部位に

 そうした子宮内膜が一般的な腹膜や卵巣などではなく、ほかの部位に発生するのが「希少部位子宮内膜症」だ。全身のあらゆる部位で発症し、部位によって異なる症状が現れる。子宮内膜症患者の0.5%に併発しているとされ、2006~16年に行われた調査によると、希少部位子宮内膜症を発症しやすい部位は腸管が672例、胸腔が495例、膀胱・尿管が203例、へそが110例と報告されている。

 とりわけ注意したいのが、子宮内膜症が肺で発症する「胸腔子宮内膜症」だ。月経のたびに気胸を繰り返す「月経随伴性気胸」を引き起こし、胸痛や息切れなどが現れる。医師でも気胸を婦人科疾患と結びつけるのが難しく、診断まで時間がかかるケースが少なくないという。

「月経中に気胸を2~3回繰り返し、呼吸器外科で胸腔鏡手術を受けたところ子宮内膜症が見つかり当院に来院された患者さんがいました。気胸は手術で目に見える肺の病変を全て取り除いたとしても、微小な病変が1つでも残っていれば肺に穴が開いて気胸を起こすので再発率も40~70%と非常に高い。気胸になると胸痛や息苦しさで遠出が難しく、行動範囲が狭まるといった悩みを患者さんからよく聞きます。QOLの低下を防ぐためにも早期に診断を受け治療を始めるのが大切です」

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