第一人者が教える 認知症のすべて

そんな理由にだまされるとは…1人暮らしの母親がオレオレ詐欺に

様子が変だと思ったら…(写真はイメージ)

「ゴールデンウイークに入る直前、母親がオレオレ詐欺に遭ったんです」

 こう話すのは、大阪府在住の50代男性、Kさん。お母さんは奈良県で1人暮らしをしており、Kさんは2週間に1回くらいの割合で実家に帰っています。

「私が実家に帰ったのは、オレオレ詐欺に遭った翌日。『体調どう?』って聞くと、なんか様子が変だったんです。だから『なんかあった?』としつこく聞いたら、渋々『昨日、Y子にお金を貸した』と言い出して……」

 Y子さんというのは、妹さん。神戸市在住で、夫婦で薬局を経営しています。

 お母さんが言うには、Y子さんから電話があり、留守中に自宅に泥棒に入られ、たまたま家に置いていた200万円が盗まれた。そのお金は取引先に支払わなければならないもので、その支払期限が今日なのだが、どうしても工面がつかない--。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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