感染症別 正しいクスリの使い方

【誤飲性肺炎】常在菌が原因に…予防には口腔内のケアが欠かせない

(写真はイメージ)

「誤嚥性肺炎」は嚥下機能の低下により口腔内容物を誤嚥することで発症します。じつは健常者でも睡眠中などに誤嚥しているのですが、口腔内の常在菌は病原性が低く菌量も少ないため、通常は肺炎などを起こしません。しかし、高齢者や脳血管障害後などで嚥下機能が低下してしまうと、睡眠時以外でも比較的大量の口腔内容物をむせることなく誤嚥(不顕性誤嚥)しやすくなってしまうのです。

 誤嚥性肺炎の原因となる口腔内常在菌は、う歯や歯周病があるとさらに増加することが知られています。歯磨きの習慣は口腔内の細菌量を減らすのに有効な手段です。高齢者や脳血管障害後など誤嚥リスクのある方は、口腔ケアをしっかり行う必要があります。脳血管障害などにより口から食事を取ることができず、胃ろうなどで栄養を取られている方においても口腔ケアは非常に大切です。必要に応じて歯科医などに相談することも検討するとよいでしょう。

1 / 2 ページ

荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

関連記事