医者も知らない医学の新常識

新型コロナだけではない…普通の風邪でも後遺症がある?

「たかが後遺症」とバカにはできない(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナウイルス感染症では、一度治った後でも、「後遺症」(正確には罹患後症状)と呼ばれる体調不良が数カ月、場合によってはそれ以上という長い期間、残る場合があることが知られています。中には後遺症のために仕事を長期間休まないといけないケースもあります。「たかが後遺症」とバカにはできないのです。

 ただ、そこまで酷くはなくても、風邪が治った後で体調不良が長く続くという症状は、新型コロナが流行する前にも外来で患者さんから時々聞く訴えではありました。実際に新型コロナ以外の普通の風邪でも、そうした後遺症は起こるのでしょうか?

 今年の臨床医学の専門誌に、それについての興味深い研究結果が報告されています。イギリスで1万人以上の調査を行ったところ、新型コロナ以外の風邪にかかった後で、同じような体調不良の生じているケースが少なからずあることが分かりました。味覚や嗅覚の障害は確かに新型コロナ後遺症の特徴だったのですが、それ以外のだるさや集中力低下などの多くの症状は新型コロナ以外の風邪の後遺症でも同じように認められました。

 個々の症状の重さは、普通の風邪より新型コロナの方が重いことは確かなのですが、症状自体には大きな差は見られなかったのです。風邪の後の体調不良は後遺症を疑った方がいいかもしれません。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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