独白 愉快な“病人”たち

その瞬間に時間が止まりました…漫画家のやよいかめさん副鼻腔がんとの闘いを振り返る

本人提供の自画像
やよいかめさん(漫画家)=副鼻腔がん

 2017年、風邪で鼻水が止まらなくなって「蓄膿症かな」と思っていたら、なんと「副鼻腔がん」でした。

 夫が転勤の多い仕事で、その年も岩手から福島に転勤が決まり、引っ越し準備にあわただしい頃でした。鼻水や鼻づまりが治らないことで市販の鼻炎薬を飲んでいたのですが、なかなか良くなりません。耳鼻科はいつも混んでいるイメージがあり、時間的に余裕がないのを言い訳に引っ越し準備を優先させてしまいました。

 結局、耳鼻科に行ったのは、引っ越しが一段落し、症状が一段と悪くなって眠れない夜が続くようになった頃です。近所の耳鼻科では鼻炎の薬を処方されました。でも改善せず、再度診てもらうと「鼻茸がある」と言われました。鼻茸は粘膜が炎症して瘤のようになったもので、特に珍しいものではありません。「切除しましょう」と、大きめの病院を紹介されました。

 まず組織をとって検査することになり、先生に「目をつぶってください」と言われました。麻酔をしてしばらくすると鼻から何かの器具を入れられ、「ちょっと切るんだろうな」と思っていたら、次の瞬間、カン! という脳に響くような衝撃があり、びっくりしました。もちろんすごく痛かった。

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