肺がん治療の今(2)「組織型」「遺伝子変異」「免疫チェックポイント」でオーダーメード治療

確定診断後の遺伝子検査は必須

 肺がんには、組織型という分類がある。組織型ではまず非小細胞肺がんと小細胞肺がんに分類され、非小細胞肺がんはさらに腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんに分類される。どれに該当するかでできる部位や性質が異なる。かつては組織型によって、治療方針が決められていた。

 この5~10年で肺がんの治療成績が向上したのは、治療方針を決めるための情報が「組織型」「遺伝子変異」「免疫チェックポイント」と増えたことが大きい。それらに対応する薬の登場で、患者の肺がんにより合ったオーダーメードの治療ができるようになったのだ。まずは遺伝子変異から説明したい。

 岐阜県にある中部国際医療センター肺がん治療センター長の樋田豊明医師(呼吸器内科部長)が言う。

「最近の研究で、がんに特有の遺伝子変異があることがわかってきました。遺伝子変異によってがん細胞が発生し、増殖する。言い換えれば、元の遺伝子変異に作用する薬を用いれば、がんの発生や増殖を止めることができるのです。そうやって開発されたのが肺がんの分子標的薬です」

1 / 2 ページ

関連記事