医者も知らない医学の新常識

ぎっくり腰に“強力な痛み止め”は効かない

(C)日刊ゲンダイ

 ちょっと腰をひねったり、重い物を持ち上げたり、そんなささいなきっかけでも、ある日激しい腰の痛みが起こることがあります。「ぎっくり腰」と呼ばれる症状です。皆さんの中にも、経験されたことがある方は多いと思います。

 お医者さんに行くと腰のレントゲンを撮られ、異常がないと「ただのぎっくり腰ですね」と言われて痛み止めと湿布が出るだけというケースがほとんどです。しかし、意外にこのぎっくり腰はくせものです。アメリカの統計によれば、その症状は始まって3カ月が経っても、ほぼ半数では治っていなかったそうです。

 最近ではより強力な痛み止めが使えるようになり、ぎっくり腰でも痛みが強ければ処方されます。しかし、こうした強い痛み止めには本当に効果があるのでしょうか?

 去年のJAMAというアメリカの医学誌に発表された論文によると、古くからある非ステロイド系消炎鎮痛剤という痛み止めと比較して「その薬にオピオイドというより強い痛み止めを上乗せで使用しても、その後の痛みの症状には差がなかった」という結果になっています。

 リハビリにも同じようなことがいえて、ぎっくり腰でリハビリをしてもしなくても、1年後の経過には差がなかったそうです。

 とても一般的で古くからある腰痛ですが、現代医療では、まだまだその治療には限界があるようです。

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。