当事者たちが明かす「医療のウラ側」

学校の検診で病気が見つからないのは当然

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 東京近郊の住宅街で耳鼻科医を開業しております。近くに小学校があるため、そこの校医もしています。耳鼻科検診で、何百人の子供たちを診るのですが、その子たちが私の医院の患者さんになることは、ほとんどありません。

 なぜなら、自分の病院でなら「こういう疑いがありますね」と指摘できても、学校の校医としてはハッキリと言えないからです。

 その理由の第一は、時間がないこと。流れ作業で診るため、よほどハッキリしている、命に関わる病気なら別ですが、「疑い」程度では指摘することはしていません。医師としても、自信を持って「この病気です」と断言はできません。

 ある子供に対しヘタに「○○病の疑いがあります」などと言おうものなら、同じような症状の児童全員に言わなければならなくなり、結果的にそうした子供の多くは私の病院に通うことになります。そうすると、「○×先生は校医をいいことに患者集めをしている」「大げさに言っている」といった悪評が立ってしまいかねません。

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