第二に、今の学校の検診は“病気を見つける場”ではないからです。あくまでも検診は、“集団生活の障害になるような病気”を探す場であって、個々の病気を発見する場ではないのです。もっと言えば、学校側が期待しているのは、夏に開かれる学校のプールに入れる子供かどうかを見極めたいだけなのです。
ですから、「この子は鼻の手術をした方がいいのに」「アレルギーの疑いがある」なんて場合でも大抵は黙っています。
私の医院で「扁桃が大きいですね。治療した方がいいかもしれません」と親御さんに言うと、「うちの息子は先生が校医をしている小学校に通っていますが、そんなこと言ってくれなかったじゃないですか」と文句を言われることがあります。
そもそも、学校の校医なんてものは誰もやりたがらない仕事です。子供たちにとっては年に1、2回ですが、校医は学年ごとに診るので、検診がある月は午前か午後に6日間、自分の医院を休まなければなりません。
それでも、子供たちやその親御さんから感謝されるような病気が見つかることはまずないのです。学校の検診で病気が見つからないのは、ある意味、当然のことなのです。
当事者たちが明かす「医療のウラ側」