医者も知らない医学の新常識

脱毛の治療薬で男性機能は低下するのか?

 脱毛は男性の永遠の悩みのひとつです。健康保険の適用にはなっていませんが、男性型脱毛の治療薬として、2種類の飲み薬が処方箋薬として使用されています。「フィナステリド」と「デュタステリド」です。この2種類の薬はいずれも頭皮の男性ホルモンの作用を抑える薬です。男性ホルモンが脱毛の主な原因だからです。

 ただ気になるのは、全身で男性ホルモンの作用が低下すれば、男性機能も低下してしまう可能性があることです。基本的にはそうしたことがないように薬は作られているのですが全く影響がないとは言えません。

 実際に薬の臨床試験では、性欲減退が少なからず認められています。また、「脱毛治療薬を飲んでいて男性機能が低下し、薬を飲むのをやめても回復しなかった」という報告さえあるのですから、不安はさらに募ります。

 実は「薬による男性機能の低下」が科学的に調べられたことは、これまでにあまりなかったのです。今年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という医学誌に、英国でこの問題を調査した結果が報告されています。

 それによると、1万人を超える調査によって、「脱毛治療薬の使用は男性機能とは関係ない」ことが確認されました。脱毛治療薬は、用法と用量を守って服用すれば、男性機能に大きな影響を与えないと思ってもいいようです。

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。