クスリと正しく付き合う

飲む量が同じでも出ていく量が変わるケースも

 腎機能や肝機能は病気や薬によって急激に低下することもありますが、加齢によっても徐々に下がってきます。近年では、慢性的に腎機能が低くなる慢性腎臓病(CKD)の患者さんが増加していて、成人の7人に1人はCKD予備群といわれています。

 腎機能や肝機能を調べるには、血液検査が最も有効です。定期的な採血をオススメしますが、医師の中には、患者さんに痛い思いをさせたくない、検査代の負担をかけたくないなどの理由から、あえて血液検査をしないという先生も少なくありません。

 また、どうしても採血はイヤだ……ということであれば、次の点に注意してください。①薬の服用中に尿が出にくい②むくみやすくなった③食欲がなくなった④著しく体重が増減した。これらは、腎機能低下、肝機能低下の初期症状が考えられます。いずれかに当てはまる場合は、速やかに受診しましょう。

 以前からずっと同じ量を飲んでいるからといって、決して安全というわけではありません。定期的に体調に応じて用量を見直すということも大切なのです。

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神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。