当事者たちが明かす「医療のウラ側」

予備校が授業・卒業判定に関与する薬学部教育のデタラメ

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 医学部でも国家試験対策を行っている大学はいくらでもあります。しかし、それが大学の正規の授業を圧迫しているばかりか卒業判定にまで影響されているなんて聞いたことがありません。

 薬剤師は、医師、歯科医師とともに6年制教育となり、より専門的な知識を得たうえで国家試験に臨み、それをパスすることで人の命を預かる医療の一翼を担うことになります。しかし、大学にしても学生にしても、その覚悟が乏し過ぎると言わざるを得ません。

 薬学部の標準修業年限卒業率(規定の年数で卒業する学生の比率)は2015年で71.2%。退学率は9.3%と、7.7%の歯学部や、1.6%の医学部に比べて飛び抜けて高い。これも、能力・意欲に問題がある学生がいかに多いか、ということの証拠ではないでしょうか?

 薬剤師には処方箋の内容に対して医師に問い合わせできる「疑義照会」という権限があります。しかし、こんな薬学部教育の実情を知ると、「疑義照会」にも素直に耳を傾けるのがバカバカしくなってしまいます。

2 / 2 ページ