がんや心臓病より怖い

孤独<5>高血圧・高血糖・不眠の陰に「コルチゾールの上昇」あり

年齢によって孤独の影響も異なる(C)日刊ゲンダイ

 孤独感が強まると、血中の「コルチゾール」濃度が上昇することが知られています。血流や代謝を活性化させ、ストレスから身を守る、大切なホルモンです。コルチゾール濃度が上がると、血圧と血糖値が上昇し、脳が覚醒します。動物がストレス(敵や恐怖など)から逃れる方法は、大きく「闘う」か「逃げる」かのどちらか一つ。しかしどちらにしても、行動を起こす前に体の瞬発力を高めなければなりません。コルチゾールはその準備を促す役割を担っています。

 野生の世界で生きていくためには必須のホルモンですが、人間の場合、孤独や不安など精神的ストレスでも濃度が上がるのです。そのため今ではむしろ、うつ病などの診断に使われているほどです。強い不安を感じているかどうかが分かりますし、濃度の時間変化を追えば、不安の持続パターンを知ることもできます。

 正常人のコルチゾール濃度は、起きる3時間ほど前から上昇し始め、起床時にピーク(正常値:4・0~23・3マイクログラム/ミリリットル)を迎えます。その後は徐々に減少して、就寝時に最低になるという日周パターンを繰り返します。

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