遺伝子レベルで自殺の研究が進んでいます。自殺者や自殺願望の強い人と、そうでない人のサンプルを集め、遺伝子を比較して、違いを見つけだそうというのです。
すでにいくつかの遺伝子が候補として見つかっています。中でもアメリカのジョンズ・ホプキンス大学で行われた研究が有名です。自殺を試みた262人の被験者を調べて、SKA2と呼ばれる遺伝子の働きが下がっていることを明らかにしたのです(American Journal of Psychiatry/2014年)。この遺伝子は、悲観的な感情や、それに伴う衝動的な行動を抑える働きがあるとされています。いわば「自殺予防遺伝子」です。
ただし、SKA2の塩基配列(遺伝情報)自体には、これといった違いは見つかりません。ところが自殺願望の強い人では、SKA2にメチル基と呼ばれる小さな分子が結合(メチル化)していることが分かったのです。
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