子作り治療 最前線

女性にとって40代前半は妊娠の「最後のチャンス」

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「体外受精は月経開始3日目から排卵誘発剤を使うことからスタートします。11~14日目に採取した成熟卵子を数時間培養後に、精子と受精させます。そして、2~5日後に培養した受精卵が『胚』の段階に成長したら子宮に戻す。胚移植から約2週間後に妊娠判定をします」

 しかし、体外受精を行っても良好な胚ができない、精子が悪く容器内で自然受精しないなどの場合、顕微授精を検討する。

 顕微授精は体外受精の一種だが、異なるのは受精の方法だ。卵子1個に対し、1個の精子をピペット(先端の細いガラス管)で卵子内に直接送り込む。精子が1個しか採取できなくても受精させることができるので、運動能力のない精子や精巣から取り出した精子細胞でも受精が可能だ。

「これらのARTに欠かせない技術が『凍結融解胚移植』です。排卵誘発で採卵した周期はホルモンバランスが崩れていて、子宮環境が最良の状態ではない。そこで、いったん胚を凍結し、別の周期に融解して移植することで着床率が高まるのです。それに1回の排卵誘発で5~6個の卵子が取れるので、残った胚は移植
に失敗した次の治療や第2子の治療に使えます」

 同院の年齢層で見たARTの妊娠成功率は、体外受精は37~41歳で約25%、42歳以上は約13%。顕微授精は37~41歳で約34%、42歳以上は約9%という。

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