お酒と健康 8つの疑問

医師がよく言うお酒の「適量」 その根拠となる研究とは?

かんぱ~い!(C)PIXTA

 つまり、この研究に限れば1日のアルコール摂取量40グラムが健康を害さない上限の酒量ということになります。ですからお酒を飲まない人より総死亡率が低いこの数字が、お酒の適量といえるのかもしれません。

 しかし、これは外国のデータ主体の数字です。日本では1990年からスタートした「多目的コホート研究」があります。全国11地域、14万人余りを対象にした研究です。

 食事や運動、喫煙などの生活習慣が病気にどう関連するかを調べる研究です。そこからはじき出された結果が、「1日に取る純アルコール20グラムが適量」となったのです。

 ただし、病気によっては少ししかお酒を飲まないのに罹患率が跳ね上がる病気があります。高血圧脂質異常症、脳出血、乳がんなどです。逆に少ししか飲まなければ、まったく飲まない人より発症リスクが低くなる、心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患、脳梗塞、2型糖尿病なども存在します。

 Jカーブは少量飲酒でリスクが低くなる疾患によるものが大きいと考えられます。

(国際医療福祉大学病院内科学・一石英一郎教授)

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