「スケベ虫」被害が増加 虫刺されのかゆみを鎮める4つのポイント

虫よけスプレーは子供でも使用できるイカリジンに注目

「スケベ虫」と呼ばれる害虫の被害が今、相次いでいる。網戸もすり抜け、長袖・長ズボンをはいていても服の下に入り込むという。

「スケベ虫」は、ヌカカというハエの仲間。これまでは鳥取県や鹿児島県など西日本を中心に被害が報告されていたが、全国的にも広がりつつある。

 噛まれると猛烈なかゆみに襲われ、1カ月以上続く。

 ヌカカらしき虫に刺されたという東京都在住の50代女性は、「蚊とは段違い。10倍以上かゆい」と話す。

 ヌカカのピークは梅雨明けだそうだが、それはブヨやダニも同じ。正しい虫対策は?

 まず用意すべきなのは、虫よけスプレー。殺虫剤を扱う「フマキラー」担当者によると、スプレー成分には主にディートとイカリジンがある。ディートはかなり昔から使われてきた成分で、イカリジンは1986年にドイツで開発された。

「ディートの場合、生後6カ月未満の赤ちゃんには使用が禁止されており、12歳未満のお子さんには1日に使用できる回数に制限があります。イカリジンはこれらの制限がなく、小さなお子さんでも使用できる上、虫よけ効果はディート同様で、虫よけ特有のニオイがしないのも特徴です」(フマキラー担当者)

 濃度は効果の持続時間を表す。たとえば、15%のイカリジンは効果の持続時間が6~8時間。では、虫に噛まれてしまったら? 南青山皮膚科スキンナビクリニック院長の服部英子医師に聞いた。

【洗浄し、冷やす】

 流水で刺された場所を洗浄し、保冷剤などで冷やしてかゆみを抑える。低温ヤケドを避けるために、保冷剤は薄手のタオルで包んで当てる。

 ブヨなどは、「ポイズンリムーバーで毒を吸い出す」「指や爪で毒を絞り出す」といった応急処置もよく聞く。

「どこまで毒を吸いだせるかは疑問。感染を起こすこともあり、おすすめしていません」

【体を温めない】

「血流が良くなってかゆみが一層増します」

 シャワーで体を洗うのは問題ない。せっけんで虫に刺されたところを洗うのもOKだ。

【早い段階で皮膚科へ】

 市販薬のかゆみ止めが効かなければ、早い段階で皮膚科を受診すべき。

「かきむしると菌に感染して化膿したり、治ったはいいが色素沈着を起こしてしまいます」

【薬を正しく使う】

 皮膚科では一般的に、塗り薬としてステロイド外用薬が処方される。

「ステロイド外用薬は、強さの強いものから弱いものまで5ランクに分かれています。皮膚科では部位、症状に応じて使い分けます。特にヌカカは症状が強いことが多く、内科など皮膚科以外の医療機関を受診すると、症状に対し弱めの薬を出される場合もあります。症状に合った薬を処方してもらってください」

 適切な量を塗れているかも重要だ。大抵の人は量が少なすぎ。ティッシュを付けるとくっついて落ちなくなるくらいの量を塗る。布団や衣服に薬がつくのが嫌なら、ガーゼなどで覆う。

 さらに、医師の指示通りの期間、塗り続ける。

「かゆみが治まったから塗るのをやめた、という患者さんがかなりいますが、そうするとすぐにかゆみがぶり返すことがあるのです。ステロイドということで早めに塗るのをやめてしまうのかもしれません。しかし、短期間の使用ですし、副作用への心配はありません」

 塗り薬だけでかゆみが鎮まらなければ、抗アレルギー薬や、症状が重い時はステロイドの飲み薬を処方する場合もある。抗アレルギー薬は花粉症の薬でもあるので、花粉症シーズンにもらった薬があれば、医師への相談の上、それを服用するのもいい。

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