今こそ知っておきたい抗ウイルス薬

B型肝炎や天然痘はワクチンの開発で患者数が劇的に減少した

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 とはいえ、ワクチンがなくてよいかというと、決してそうではありません。ワクチンによって感染しなかったり、重症化が抑えられたりといった効果が期待できるので、やはり開発は必要です。

 ワクチンによって劇的に患者数が減った例としては、B型肝炎や古くは天然痘が挙げられます。天然痘はかつて死に至る疫病でしたが、ワクチンの開発によって感染者数が激減し、1980年にはWHO(世界保健機関)から「世界根絶宣言」が出されました。

 ワクチンは、効果の強さや持続時間(期間)がワクチン自体や対象となる病原体ごとにさまざまです。そのため普段からの物理的な予防は欠かせませんが、感染症対策においてワクチンは選択肢のひとつとしてあるべきです。新型コロナウイルスに対しても早期に開発されることを願っています。

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神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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