ウイルス感染症には、「一過性に感染するもの」と、「一度感染するとウイルス自体が体から出ていくことはなく、免疫力が下がるなどのタイミングで発症するもの」の2種類があります。
前者はコロナウイルスやインフルエンザウイルスが該当し、後者の代表例としてはヒト免疫不全ウイルス(HIV)が挙げられます。
HIV感染症(エイズ)は、かつては治療法がなく、いったん発症すると1~2年で死亡してしまう致死的な疾患でした。しかし、治療薬の開発によって患者の生命予後が劇的に改善し、今では「HIV感染者とそうでない人の平均寿命はほぼ同等」という研究結果も報告されているほどです。
HIVはヒトのT細胞に感染します。T細胞は血中のリンパ球の一種で、免疫機能をつかさどる細胞です。キラーT細胞とヘルパーT細胞の2種類に大別されます。特にヘルパーT細胞は、免疫システムの総司令官的な役割をしています。
今こそ知っておきたい抗ウイルス薬