「短期的にどうなるかはわかりません。むろん、感染力が上がれば、糖尿病や肺の疾患などの持病がある人も感染する確率が高くなるので、一時的に重篤な患者さんや亡くなる人は増えるかもしれません。ただし、一部で報じられているように変異種が従来型に比べて体内での増殖速度が高まっているのが本当なら、ウイルスの病原性は高まるのが普通です。ところが現時点では変異種に感染した患者さんにとくに目立った重篤な症状の増加がみられないといわれている。そのことからそれほど病原性が強まったということはなく、むしろ弱くなった可能性もあります」(宮沢准教授)
宮沢准教授が心配しているのはむしろ、変異したことで新型コロナウイルスがいつまで体内に残るかということだ。
「猫や牛などの動物のコロナウイルスは、症状を起こさずに体内で感染が持続するケースが少なくありません。私が気になるのは、新型コロナが変異によって他の動物のコロナウイルスのように症状を起こさないで感染が持続することです。そうなるとPCR検査を受けてもずっと陽性のままとなり、隔離が解けなくなり、仕事や学校などに復帰できなくなってしまいます」(宮沢准教授)
ちなみに欧米では変異種は、ヒトから動物、動物からヒトへのピンポン感染や薬などの治療により遺伝子が変異したからではないか、との見方がある。しかし、これには宮沢准教授は否定的で「単に感染者数が多くなり、変異の確率が上がったため」だという。
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