わが子を新型コロナから守る 知っておきたい「5つのこと」

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 子供は新型コロナウイルスに感染しにくく、感染しても無症状か軽症で済むことが多い。しかし宮城県立こども病院リウマチ・感染症科の谷河翠医師(日本小児科学会専門医)は、「何事も例外はある。エビデンスのある対策をきっちり行うことが必要」と話す。子供のコロナ対策で知っておくべきことを聞いた。

■必ず行うべき対策

「基本的な対策は大人も子供も同じで、こまめな手洗いを正しいタイミングで行うこと、不要不急の外出を控えること、人と人との接触を控えること、になります」

 特に徹底すべきなのが、手洗いだ。

「低年齢のお子さんでは安全面からマスクを着けられないこともあります。咳エチケットを守れず、おもちゃをなめたり、手で鼻や口を触ることも多い。そのため、手洗いが重要なのです」

 医学的に感染予防に効果があるとされているのは、せっけん、流水で20~30秒間の手洗いだ。

「砂時計を置いたり、一緒に歌を歌ったりするといいでしょう。『ABCの歌』や『きらきら星』をゆっくり歌えば30秒ほどになります」

 帰宅時は何かを触る前に、食事前、トイレの後に手洗い。親は子供に食事やおやつを出す前も手洗いを忘れない。

■風邪のような症状が出たときは…

「親にとってはコロナを疑い心配になることもあるでしょう。だからといって風邪をひくたびにPCR検査は非現実的。落ち着いて様子を見てください」

 注意すべきは、「37・5度以上の熱が4~5日以上」「呼吸困難」「ぐったりしている」「食事や水が取れない」「いつもの風邪とは違う」。

「どれかに該当する場合、コロナに限らず医師の介入が必要です。かかりつけ医に相談を」

 難しいのは、コロナの可能性もある風邪の子供との過ごし方。生活環境を完全に分断することは難しいが、できる対策として、こまめな換気、手洗い、よく触れる共有部分の消毒などがある。唾液中にウイルスがいる可能性も考え、子供の食べ残しを親が食べないことも重要だ。子供の感染例は、親からの感染であるケースが多い。もし親に風邪症状がある場合も、同様の対策を徹底して行う。

■喘息があると重症化しやすい?

「喘息に限らず、小児でも呼吸器系や心臓系の基礎疾患は重症化のリスク因子として指摘されています。とはいえ、それはコロナだけでなく他のウイルス感染症でも同様。毎日の薬や定期的な受診を欠かさず、体調不良時の対応について事前にかかりつけ医と相談しておくといいでしょう」

■予防接種や健診はコロナ終息後に?

「小児科医として、乳幼児の予防接種や健診は不要不急ではないと強調したいです。子供たちの心身を危険にさらすのはコロナだけではありません。予防接種は、命に関わったり後遺症が残ったりする病気を予防できるようスケジュールが組まれています。コロナ終息後では、手遅れになる可能性もあるのです」

 たとえばおたふく風邪は、難聴や髄膜炎、脳炎・脳症などの合併症が起こる。適切なタイミングによるワクチン接種が予防策になる。

■保育園や幼稚園、小学校は休んだ方がいい?

「コロナに対する学校閉鎖は、当初予想されていたほど効果はなかったと報告されています。登園・登校をやめると、一方で子供のメンタルの問題、親の仕事の生産性の低下なども出てくる。メリットばかりではない対策ですので、決定には慎重であるべきです。流行の大きさによっては再度、学校閉鎖も対策のひとつとして求められる可能性はあるでしょうが、子供への影響を常に忘れないであげて欲しいです」

 コロナから子供を守ろう。

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