専門医が教える パンツの中の秘密

ED治療薬の意外な効能 元気になるのは男性機能だけではない

バイアグラは血管を若返らせる!?(C)日刊ゲンダイ

 その後も国内のED治療薬は「レビトラ」「シアリス」と3剤が認可され、今ではジェネリック(後発薬)も数多く発売されています。これらのED治療薬は、すべて「PDE5阻害薬」という種類の薬になり、ED患者の70~80%に効果が認められています。

 しかし、勘違いしてはいけないのは、PDE5阻害薬は勃起させる薬ではなく、勃起を維持させる薬だということです。ですから飲んだだけでは勃起はせず、AVを見たり、ペニスを刺激したり、性的刺激がなければ薬の効果は表れません。

 では、どのような作用で勃起を維持するのでしょうか。勃起するときは陰茎海綿体の中で「サイクリックGMP」という筋肉を弛緩(しかん)させる物質が増えます。しかし、この物質はずっと存在するのではなく、「PDE5」という酵素によって分解されてしまいます。サイクリックGMPが分解されてしまうと、陰茎海綿体の筋肉が収縮して勃起が維持できません。PDE5阻害薬は、勃起を消えさせる酵素の働きを邪魔する薬なのです。

2 / 3 ページ

尾上泰彦

尾上泰彦

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

関連記事