新型コロナ 重症化を防ぐ最新知識

重症化の犯人「サイトカインストーム」の仕組みと発生しやすい人

英国の感染者数は増加傾向(ロンドン朝の通勤風景)/(C)ロイター

 英国では新型コロナウイルス感染症の重症患者800人を対象に比較試験を行い、人工呼吸器を装着して24時間以内にIL-6の作用を抑えて炎症を防ぐ薬を与えると、死亡リスクで24%、入院期間で7~8日短縮に成功したことが明らかになっている。これらのことからサイトカインストームはIL-6が大きく関与している可能性が高いとされている。

 つまり、鼻や喉の奥で新型コロナウイルスが感染した後、肺に感染が始まるタイミングでIL-6アンプが活性化し、さまざまな炎症性サイトカインが産生される。やがて血管などを介して各臓器に感染拡大すると共にそれぞれのIL-6アンプが活性化して、全身に重篤な状態が誘導されるというわけだ。

■腸内細菌叢や生活の乱れとの関係

 高齢者の場合は、これにウイルス感染や腫瘍の排除に働く、ある種のT細胞の活性化が炎症性サイトカインの産生に拍車をかけるといわれている。このT細胞は通常の風邪コロナウイルスに対しても反応するため、その記憶が多く蓄積されている高齢者の場合、より大量のサイトカインが産生されるからだ。

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