感染症別 正しいクスリの使い方

【寄生虫による食中毒】アニサキスに正露丸が効くは本当か?

食中毒のほぼ半数は「アニサキス症」/(C)日刊ゲンダイ

 食中毒は、冬場はノロウイルスなどのウイルス性によるものが多く、湿度や気温が高い夏場は細菌性の発生件数が増加する傾向にあります。ただ、食中毒にはそれら以外が原因になるケースも多くあります。その中でも代表的なものが「アニサキス症」です。

 今年6月に元AKB48の板野友美さんもこの食中毒に見舞われたことを明かしています。板野さんは病院のベッドに横たわりながら自身のYouTubeチャンネルで「胃からアニサキスを引っ張るという、激イタな行為をした。マジで今痛かった。びっくりした。出産より痛かったんだけど……」と報告されています。

 アニサキスは、回虫目アニサキス科アニサキス属に属する線虫です。青魚などによく寄生する寄生虫で、2021年の日本における食中毒のほぼ半数を占めています。

 激烈なお腹の痛みについては、以前はアニサキスが噛み付いたことによるものともいわれていたようですが、近年は「アレルギー反応の一環で疼痛を誘発するのではないか」という考えが主流になってきています。治療は内視鏡で取り付いているアニサキスを確認し、取り除けば痛みが速やかに改善します。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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