名医が答える病気と体の悩み

認知症の本人が「食べたい」と何度も訴えたら食事を与えてもいいのか

食器をすぐには片付けないのもひとつの手

「食べたい」と言われたら、家族は「もう食べたでしょ」と否定せず、本人の気をそらしてください。「今から準備するから待っててね」と声掛けをしたり、音楽をかけて聞いてもらっているうちに、本人は食べたいという意識を忘れてしまうケースが多いです。「食事した」という記憶をできるだけ長く残すために、食事が済んでも食器をすぐには片付けず、そのままの状態で置いておくのもひとつの手です。

 それでも何度も「食べたい」と訴えられて困ったら、1回の食事量を減らして食事の回数を増やしたり、おやつなどの間食を渡すといいでしょう。ただし、食べ過ぎると消化が追いつかず吐いてしまう場合もあるので、量には注意してください。

 ただし、健康面を考慮すると、やはり食べ過ぎは良くありません。過食で体重が増加し膝を痛めてしまうと、動かなくなり寝たきりになる危険性があります。また、糖尿病を併発している人が過食すると、血糖をコントロールできず高血糖になり、動脈硬化などの合併症のリスクも高まります。

2 / 3 ページ

関連記事