名医が答える病気と体の悩み

認知症になるとあることないこと「作話」をするのはなぜ?

否定も肯定もしないことが大事

 患者さんが、「お金を盗まれた」と訴えられた場合には、「心配だよね」「悲しいね」と、盗まれたと思い込み不安を感じている点だけに強く同意をしてください。そこで「私は味方だよ」と笑顔で接して、私も一緒に捜すの手伝うよと笑顔で味方アピールをすると、認知症の方は安心して落ち着きます。「昔は大女優だった」のような自慢話には、「そうだったかしらね」と否定もせず肯定もしないことがよいと思います。

 物盗られ妄想などの作話の場合、長く話を聞くと介護者は疲れるでしょう。主治医の先生に相談して安全性が高い抗認知症薬、漢方薬などを処方してもらうのも有効です。

▽榎本睦郎(えのもと・むつお)1992年東京医科大学卒業後、同大大学院入学。99年七沢脳血管リハビリテーションセンター、2001年浴風会病院、02年鶴川サナトリウム病院での勤務を経て、09年に榎本内科クリニックを開院し、院長を務める。著書に「認知症の親へのイラッとする気持ちがスーッと消える本」(永岡書店)など多数。

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