名医が答える病気と体の悩み

認知症患者の施設での金銭トラブルを防ぐために貴重品の管理はどうすべきか

否定せず本人の主張を聴く(C)PIXTA

 認知症が進行して在宅での介護が難しくなると、施設への入居を検討するケースが少なくないでしょう。そうした施設内で多いのが貴重品管理のトラブルです。認知症を発症すると、お金に対する執着が異常に強くなる方がよく見られます。背景には、「若い頃に経済的に厳しい環境で育った」「長い間1人暮らしをしていて金銭の管理を自分で行っていた」ことなどがあると考えられます。認知症の方がよく「お金を盗まれた」と訴えるのもお金への執着からくる妄想で、「物盗られ妄想」と呼ばれる認知症の症状のひとつです。介護士や家族など、顔を合わせる機会が多い人物を疑うのがこの症状の特徴です。

 トラブルを避けるために、認知症患者さんが多く入居する施設では、貴重品の持ち込みを完全に禁止している所が少なくありません。一方で、家族と職員でよく相談した上で現金の持ち込みを許可し、自由にお弁当やお菓子、飲み物を購入できる施設もあります。

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