日本版「足病医」が足のトラブル解決

最近、足の感覚が鈍いのですが糖尿病の合併症でしょうか?

糖尿病患者の10%の人に足病変が

 ある患者さんは、大きい釘が刺さっていると来院しましたが、釘の胴部と先端部が足の裏に完全に埋まっていたため、なんと1カ月間も刺さっていることに気付かなかったと言います。それくらい感覚がなくなるのです。

 また、神経は筋肉の発達を担っていますが神経障害があると筋肉にうまく刺激が伝わらず筋肉が萎縮し、正常な足の形が保たれなくなって変形していきます。そのため、さまざまな足の変形になってタコができたり、変形した足で靴を履くとすぐに靴ずれを起こしてそこから感染が起こっても免疫力の低下から傷はなかなか治りにくく壊疽に至るといった悪循環が生じるのです。

 50代後半の女性は、「ある日突然巻き爪ができて、足の指も腫れている」と他院の皮膚科を受診しました。指の腫れは、巻き爪により爪が皮膚に食い込んで傷になり、そこから細菌に感染したのが原因です。ただ、爪の真下には骨があるので、爪の付近から感染が起こると菌は一気に骨まで到達し、細胞や組織が壊死するリスクが高い。受診先で1週間後に足の指だけでなく膝下からの切断が必要と告げられ、セカンドオピニオンとして当院の足の疾患センターを受診されました。

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田中里佳

田中里佳

2002年東海大学医学部卒業、04年同大学形成外科入局、06年米国ニューヨーク大学形成外科学教室留学、12年順天堂大学医学部形成外科学講座准教授、医局長を経て現職を務める。

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