寝る前に両足に違和感を感じたら…「糖尿病性神経障害」を疑う

愛知医科大学医学部内科学講座(糖尿病内科)の神谷英紀教授(提供写真)

 糖尿病性神経障害は腎症、網膜症と並び糖尿病の3大合併症に数えられています。ところが、一般の人は具体的にどんな症状が糖尿病性神経障害によるものなのか、わかっておらず、関心が高くないのは残念なことです。糖尿病のある人の寿命は延伸しておりますが、糖尿病性神経障害は“健康”寿命に強く影響を及ぼすため、大きな問題となっています(健康寿命:健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)。世界的に糖尿病性神経障害の定義がハッキリしていないせいもありますが、今回、糖尿病性神経障害がどのようなものなのかを知っていただきたいと思います。

 糖尿病性神経障害は糖尿病に特有な代謝障害と細小血管障害が関与する末梢性神経障害を言います。末梢神経には痛み、温度感覚、触覚などの感覚を伝える感覚神経、手や足をつかさどる運動神経、それに内臓や内分泌器官の働きを調整する自律神経があります。つまり、糖尿病性神経障害とは糖尿病によって起きる感覚・運動神経、自律神経の障害のことを言います。

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