イヤホン難聴でインスリン注射に、耳の治療で血糖値が急上昇…糖尿病とその予備軍は要注意

イヤホンで「難聴」になる人が増えているが…

 ステロイドは肝臓からの糖の放出を進めてしまうほか、血糖を下げるホルモンであるインスリンの分泌を抑える働きがある。さらにステロイドは食欲を促進するため、血糖を上げるリスクが高まる。

「治療のためのステロイドが厄介なのは、簡単にやめられず、血糖を下げるのが難しいこと。その治療は飲み薬の適応がないため、基本はインスリン注射となります。ステロイド糖尿病は、空腹時血糖値は正常で食後高血糖になるという特徴があるため、治療は食前に速効型のインスリンを打つことになります」

 ステロイド糖尿病を発症しやすい人は、ステロイドの投与量が多い人、投与期間が長い人、高齢者、肥満など、2型糖尿病リスクが高い人、家族に糖尿病の人がいる人など。むろん、すでに糖尿病の人も血糖値が悪化して症状が進むため、治療の強化が必要になる。

 だからといって難聴を放っておくわけにはいかない。難聴は認知症やうつ病、転倒、寿命に関係することが明らかになっている。ただ、難聴の急拡大の陰にはステロイド治療による血糖コントロール悪化の脅威が待ち構えていることも覚えておこう。

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