誰でもできる力いらずの介助術

腰に触れて「崩し」を利用すれば体格差があっても起こせる

(写真1)/「写真と動画でわかる!埼玉医大式力がいらない介助技術大全」(講談社)

 介護者を悩ませる腰痛の原因は、力まかせの“パワー介護”だ。椅子から立ち上がらせようと、相手を抱きかかえて持ち上げている人は少なくない。埼玉医科大学客員教授の根津良幸氏はこう言う。

「私たちは日常生活の中で、相手の体勢を不安定にさせて技をかける少林寺拳法の『崩し』を自然に行っています。たとえば自力で椅子から立ち上がる際、無意識に体を前傾させるのも崩しです。この動作を介助で再現すれば『大きな風船をふわっと投げる』程度のわずかな力で相手を立ち上がらせることができます」

 介護度が低く、少しのサポートで椅子から立ち上がれる人に適した介助法を紹介する。

①相手の正面に立ち、相手には両足を肩幅程度に開いてもらい、介助者は足の間に片足を1歩踏み出す②相手の手のひらを上向きにした状態で下側から両手で肘に触れ、相手には手のひらを下向きに回してもらって介助者の前腕に手を乗せる(写真1)

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根津良幸

根津良幸

株式会社One tо One福祉教育学院代表取締役、埼玉医科大学客員教授。近著に「写真と動画でわかる!埼玉医大式力がいらない介助技術大全」(講談社)。YouTubeチャンネル「根津式介護技術」

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