医者も知らない医学の新常識

腰痛は「6週間」で見極める! 一時的なのか慢性化するのか…

腰痛の原因の多くは不明

 腰の痛みは誰でも経験するものです。代表的なものは一般に「ぎっくり腰」と呼ばれ、重い物を中腰で持つなど、ちょっとしたきっかけから激しい痛みが起こり、数日は立つことも出来なくなります。これだけ一般的な症状である腰痛ですが、じつはその原因の多くは不明です。

 原因不明の腰痛は、痛み止めや湿布、場合によっては温熱療養やリハビリ、針治療や整体などで様子をみるしかありません。その症状は通常は6週間以内には改善することが多く、これを「急性腰痛」と呼んでいます。

 しかし、一度改善しても、6割を超える患者さんでは腰痛は再発すると報告されています。そして、中にはそのまま痛みが続く「慢性疼痛」と呼ばれる状態になるケースもあるのです。

 それでは、その腰痛が一時的なものかどうかの見極めはどうすれば良いのでしょうか? 今年のカナダ医師会の医学誌に、これまでの臨床データをまとめて解析した論文が掲載されています。それによると、原因不明の腰痛が始まってから6週間以内に大きく改善する時には、慢性の痛みにはならない可能性が高いのですが、6週間で痛みが変わらない時には、続く痛みになる可能性が高いと分析されています。

 腰の痛みが6週間で改善しない時には、その時点で医師と対応を検討する必要がありそうです。もちろん、それが原因不明の腰痛かどうかは自己判断はせずに、医療機関での診断を受けてください。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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