医者も知らない医学の新常識

糖尿病の人はカルシウムのサプリメントは危険?食事から摂取したい

健康のためにサプリを使用している人も多いが…(C)iStock

 サプリメントを健康のために使用している方は多いと思います。サプリメントは薬とは違って、食べ物などにもある「栄養素を補充する」という意味合いですから、その効果は薬ほどではなくても、それで体に悪影響があるようなことはない、そう考えるのが普通です。

 ところが……非常に一般的なサプリメントの1つであるカルシウムで、心筋梗塞や脳卒中など、動脈硬化関連の病気のリスクが上がるのではないか、という研究結果が最近複数発表され、専門家の間で注目されています。

 今年の糖尿病の専門誌に発表された論文によると、43万人以上の医療データを解析した結果として、糖尿病の患者さんがカルシウムのサプリメントを使用すると、心臓病などで死亡するリスクが67%も増加していたのです。その一方で糖尿病の患者さん以外での解析では、そうしたリスクの増加は認められませんでした。その原因は不明ですが、糖尿病の患者さんはもともと動脈硬化関連の病気が多く、カルシウムの悪影響が出やすいのではないかと推測されています。

 食事からのカルシウムの摂取では、こうしたリスクの増加は勿論ありません。サプリメントがすべ危険というわけではありませんが、カルシウムは食事から十分に摂り、サプリメントは必要最小限の使用に留めるのが良いようです。特に糖尿病の患者さんはお気をつけください。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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