日本版「足病医」が足のトラブル解決

「外反母趾」の手術はどのようなものがあるのでしょうか?

手術法は150種類以上

 今回は外反母趾の治療についてお話しします。

 軽症の外反母趾であれば、インソールの着用のほか、床にタオルを置き足の指で引き寄せたり、両足の親指に太めの輪ゴムを挟んで引っ張り合う「ホーマン体操」といった保存療法で症状は改善できます。

 一方で、HV角が40度を超す重症例で保存療法の効果が弱く、親指と人さし指が重なる(クロスオーバートー)変形が見られる方は手術を検討します。患者さんが手術を希望する理由として、靴が履けない、骨の突出が痛い、タコが痛いなどいくつかあります。一番多いのは、タコが痛いという理由です。

 手術法は150種類以上あり、大きくは関節を残す「温存術」と、関節を切り取るか、または固定する「非温存術」の2つに分けられます。関節を切除や固定してしまうと、歩行に重要な踏み返し(足の指の関節を曲げる動作)ができなくなるため、当院では可能な限り関節「温存」を目指しています。症状や角度、関節弛緩性から術式を選択しています。

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田中里佳

田中里佳

2002年東海大学医学部卒業、04年同大学形成外科入局、06年米国ニューヨーク大学形成外科学教室留学、12年順天堂大学医学部形成外科学講座准教授、医局長を経て現職を務める。

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