日本版「足病医」が足のトラブル解決

「外反母趾」の手術はどのようなものがあるのでしょうか?

手術法は150種類以上

 手術はブロック麻酔で行うため、食事制限なく、尿の管も不要なケースがほとんどです。患者さんは目が覚めたまま手術を受けるので、動画を見たり小説を読んだり音楽を聴いて過ごされています。

 術後はしばらく「歩けないのではないか」という質問をよくされますが、ベッド上での安静は必要なく、手術当日は術前も術後も車椅子で、翌日から医療用サンダルを履いて歩いてもらいます。

 また、末梢の血流を良くするために、すべての足指の間にガーゼを入れて包帯を巻く包帯圧迫固定を入院中に練習してもらい、退院後もご自身で6週間ほど続けてもらいます。さらに、手術で矯正した骨がズレないように踏み返し動作は厳禁なので、医療用の厚底サンダルを8週間ほど着用する必要があります。

 足は血流が悪く、手術によるむくみが引くまでに3~6カ月ほど時間がかかります。また、手術により足の形が整ってアーチが再建されると、タコも3~6カ月ほどで消えていきます。ただ、外反母趾の手術は再発率が3~13%と比較的高い。矯正した骨が完全にくっつく(骨癒合)には約6カ月かかるので、その間に足指の体操や適切な靴を履くことが重要です。

 足はなかなか人目に触れません。足の状態を確認し、バニオン部(親指の付け根の突出部)が腫れている、タコができているなら一度、整形外科(足の外科医)を受診してみるといいでしょう。

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田中里佳

田中里佳

2002年東海大学医学部卒業、04年同大学形成外科入局、06年米国ニューヨーク大学形成外科学教室留学、12年順天堂大学医学部形成外科学講座准教授、医局長を経て現職を務める。

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