Dr.中川 がんサバイバーの知恵

男性乳がんのブラザー・コーンが抗がん剤のつらさを投稿…セルフチェックが欠かせない

ライブ復帰を目指す(2011年撮影)/(C)日刊ゲンダイ

 男性の乳がんは遺伝の影響が強く、性別を問わず家系に乳がん患者がいると、いない人に比べて発症リスクが2倍。特に乳がんや卵巣がんの原因遺伝子のひとつ「BRCA2」に変異がある男性は、ない男性に比べて80倍と圧倒的です。この遺伝子変異があると、前立腺がんやすい臓がんのリスクも高いことがわかっています。

 こうした特徴があるため、近親者に乳がんの患者がいる男性は、要注意です。なるべく早く見つけるには、入浴時など鏡で胸をチェックすることをお勧めします。ポイントは、左右の違いです。

 前述した通り男性の乳腺組織は乳頭周辺ですから、乳頭からの出血や分泌物の有無を確認するのがひとつ。もうひとつは、その周辺の皮膚の変色や大きさの確認です。運動すると、Tシャツと乳首がこすれて出血したり、炎症で変色したりすることがありますが、そういうことがないのに、このような症状が見られたら、放置するのはよくありません。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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