「肝硬変」も挙げられます。肝臓ではタンパク質が作られていて、肝硬変になると作られるタンパク質の量が減ります。タンパク質は血液の濃度を構成している成分のひとつなので、肝硬変の人は血液が維持できる水の量が少なくなってしまいます。肝硬変も心不全と同様に水が血管内から手や足に移動してくると浮腫が生じます。また、肝硬変に特徴的な症状のひとつに腹水がありますが、これもやはり水がお腹の中(腹腔)にたまることで起こる症状です。
さて、みなさんお気づきでしょうか? 高血圧も心不全も肝硬変も、いずれも「塩分制限」が必要な病態だということに。医療における塩分制限は、正確にはナトリウム制限です。つまり、塩に含まれるナトリウムは、体の中の水分に関して非常に重要な役割を持っているということになります。そう考えると、ナトリウムの再吸収を抑制して水を尿として体の外に出す「ナトリウム利尿」で尿の量を増やす利尿薬の効き方にも納得してもらえるのではないでしょうか。
高齢者の正しいクスリとの付き合い方