膝痛とオサラバ!治療最前線(4)炎症の原因物質は進行に伴って減少し鎮痛剤が効きづらくなる

写真はイメージ

「一方、消炎鎮痛剤が効果を発揮する炎症の原因因子は、進行に伴い減少していくことも判明しました。痛みのシステムは初期と進行期では異なる(本連載3回目参照)。その場合、消炎鎮痛剤ではなく、弱オピオイド鎮痛薬など別の種類の鎮痛剤を用います」

 順天堂大は特定機能病院ということもあり、患者の大半は他の医療機関で治療を受けたものの症状が改善されなかった人たちだ。眠れないほど強い痛みが生じていても、レントゲン検査で初期と診断され、消炎鎮痛剤のみを処方されている患者も少なくない。

「正確に進行程度を評価するには、レントゲン検査は立った状態での撮影が重要です。しかしこれが一般クリニックでは難しい場合もある。また、レントゲンでは映らないものもあり、通常は行わないMRI検査も、必要に応じて取り入れます。レントゲン検査で初期であっても、MRIでは軟骨の下の骨に異常を認めるケースが多く、これが拡大する例では変形性膝関節症が進行しやすい。さらに、MRIであればレントゲンではわからない軟骨の質の変化も確認できます」

2 / 3 ページ

関連記事