日本版「足病医」が足のトラブル解決

ヒールを履くと足がしびれて痛くなるのはなぜでしょうか?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 一日中、先の細いヒールや硬い革靴を履いた後に足先がジンジンとしびれて痛くなった経験はありませんか。これは「絞扼性神経障害」と呼ばれ、長時間足が締め付けられることにより、神経が圧迫されて生じる末梢神経障害のひとつです。

 先日、ある40代の女性が慌てた様子で当院を受診されました。問診で話をうかがうと、「以前から足がしびれて痛い日が多く、ここ1週間は靴を脱いでいても痛い。何か深刻な病気が隠れている気がして今すぐに診てほしい」と言います。患者さんの足元を見ると、なんと10センチもの高さがあるヒールを履いているのです。人前に立つ仕事をしていて、一日中高いヒールを履いて過ごさなければならないとのこと。初診時で重大な病気がないか検査を行い除外した結果、長時間のヒール着用による絞扼性神経障害と診断しました。

 正座をした後に立ち上がろうとすると、しびれがしばらく治まらないのと同じく、足も締め付けられた状態で足に体重がかかり続ければ神経はダメージを受けます。楽な靴に履き替えてから痛んだ神経が解放されて再生し、しびれが回復するまでに時間がかかるのは当然です。

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田中里佳

田中里佳

2002年東海大学医学部卒業、04年同大学形成外科入局、06年米国ニューヨーク大学形成外科学教室留学、12年順天堂大学医学部形成外科学講座准教授、医局長を経て現職を務める。

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