日本版「足病医」が足のトラブル解決

足に痛みがあるのに病気が見つからない…どうすればいい?

まずは自身の足に向き合ってみる

 足の痺(しび)れや痛みの症状で病院を受診しても、はっきりとした診断名がつかないケースがあります。高齢者で考えられるのが「足の老化」です。

 足の裏にはアーチと呼ばれるクッションがあり、地面に接地し荷重が加わった際の衝撃吸収を担っています。また骨の周りには筋肉があり、骨は正しい位置で支えられています。加齢に伴い筋肉が衰えると、骨を正しい位置で支えられず変形しアーチも崩れていきます。人間の足の寿命は50歳といわれていますが、健康寿命の延伸により足は本来の寿命を超えて駆使され、あらゆる症状が現れるのです。

 ある70代後半の男性患者さんは、足の指先にジンジンとした痺れと足裏の中央に痛みがあると来院しました。症状に関連する検査を行うと、足の骨格の変形を認める以外「病気」といわれる疾患は認められませんでした。筋力が衰えると足が痩せ細り、薄くなります。痩せ形の人が長時間椅子に座っているとお尻に痛みが生じるのと同じく、痩せ細った足の状態で歩けば歩くほど痛みが強まるのも無理はありません。また神経は、柔らかい筋肉に包まれた骨と骨の隙間を通っていますが、筋肉が衰えると骨同士が当たりやすくなって神経が挟まれるので、痺れやすくなるのです。

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田中里佳

田中里佳

2002年東海大学医学部卒業、04年同大学形成外科入局、06年米国ニューヨーク大学形成外科学教室留学、12年順天堂大学医学部形成外科学講座准教授、医局長を経て現職を務める。

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